柳田邦男著「僕は9歳の時から死と向き合ってきた」より
ドイツの童話作家アクセル・ハッケ作「ちいさなちいさな王様」について
ある日、人差し指くらいしかない王さまが気まぐれに少年である「僕」の家に現れたところから物語は始まる。
その王様の国では生まれた時が一番大きくて、数学もできるし、仕事もお食事会もこなせる。
やがて年をとるにつれて小さくなっていき、仕事はしなくてよくなり、いろんなことから解放されて、頭の中を遊びや空想で埋めて楽しんでいればいい日々を過ごし、ついにはほんのケシ粒のように小さくなって本棚の裏に消えてしまうのだ。
その王様が少年に言ったことは鋭い
「おまえたちは、はじめにすべての可能性を与えられているのに、毎日、それが少しずつ奪われて縮んでいくのだ。おまえたちの想像の世界はどんどん小さくなっていき、ある日、おまえたちは実際、消防士とか看護師といった何者かになってしまっていることに気付くのだ。そしてもはや、なにか、全く別なものになりたくてもなれない。こう考えると大きくなるというより、小さくなってく、といったほうがいいのではないか?」と。
もちろん、人は希望し納得できる職業に就いてひとかどの仕事ができたとき、内面もそれなりに成熟するということはある。だが、のびやかで夢の広がる空間を自由に飛翔した人生であり得たかと問われたとき、どれだけの人が「イエス」と答えられるだろうか?
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いつまでも、世間で困らない程度の常識やルールは守りつつも、型にはまらず自由にのびのびと生きられる人生が理想ですね。
魂は自由が好き!誰もが無限の可能性を秘めて生まれてきているのです。その可能性に制限をかけたり、限界を与えたりするのも私たちの思考です。