震災で助けてくれたお声の持ち主はその後、頻繁に「伊勢へ」というようになり、その切実なお声を無視し続けて3年半。
2014年9月、私は生まれ育った東北の地を離れて四国の香川県に転勤することになりました。
すると、なんとお声の方は「四国からなら伊勢へ行けますね」と喜んだのです。
土地勘のない私はえっ?そう??とぜんぜん近いと思わなかったのですがお声の持ち主はもはや行ったも同然の喜び方で日々わくわくされているのでした(;^ω^)
一方、私はプライベートはとても楽しい新生活♪を切りましたが、職場になじめず毎日、大変な思いをしていて伊勢どころじゃなーい(笑)
お声の方は「もう少しの辛抱ですよ」と励ましてくれていましたが、私にとっては、もう少しで何があるのか、先行きの見えないもう少しは少しも安心ではなく、翌年には早くも退職を考えるように。
するとお声の持ち主がアドバイスをくれて私は3月、当時の上司に自分の思いを伝えました。
その翌日に急展開で私は拠点内異動をすることに。香川県は空海さんの故郷。当然ながらお大師信仰の厚い土地です。その中でも空海さんの生まれ故郷に近い西の地域に異動となりました。
住んでいた高松市内からは車で小一時間。地元の人からしたら遠いという感覚でしたが、車の運転が好きなのと毎日が物珍しくて新鮮。少しも苦にならず、毎日楽しい通勤となりました。人にも食べ物にも恵まれ公私ともにとても充実した幸せな毎日が始まりました。
ここでお読みの方は「神さまって空海さんだったんだ!」とお思いでしょう?違います(笑)
空海さんはその頃も現在もこれからもなにかとちょいちょい私の人生に現れて導いてくれる存在であるのは確かです。ですが、お声の主は空海さんではありませぬ。
2015年5月。GWを控え私はどこに行こうかと夫と話しました。
帰省は夏にすることにして、まずは西日本でという話になり、南紀白浜に行こうと決まりました。
すると、またお声の主が「南紀ならそのまま伊勢へ行けます。」というのです。
想定外!!伊勢のことなんかすっかり忘れてたし、クジラとイルカとパンダを見に行くんだもーんと私。
ガーン( ゚Д゚)とお声の主。
かと思いきや、静かで冷静で控えめで、しかしながら凛としたお方。頑として譲りません(笑)
「そのまま北上して伊勢へ行ってください。運転が好きなあなたなら近いですよ。」というのです。
そこまでは私の頭の中?胸の中?とにかく私の中で交わされた会話で夫には聞こえていません。
押し問答が続き、とうとう私は口に出して夫に「なんかさー、伊勢伊勢ってうるさいんだよねー(怒)白浜からそのまま行けるって言ってるのよ」と愚痴ってしまいました。
するとどうでしょう!?
夫は「えーっ?その人、伊勢に行きたいって3年も言ってたのに無視してたの?震災で助けてもらったのに?あんなに感謝してたのに?ひどくない?かわいそうじゃない?ひどいよーその人かわいそうだよー」と言ったのです。
多数決で私の負け( ;∀;) 「行ってあげようよ、伊勢」という夫の一言で伊勢行き決定!!
そして、続いた夫の衝撃的な一言 「で、誰なの?その人??」
私、ポカーン……「えっ?誰なんだろ?聞いたことも考えたこともない」
夫「えっ?知らないでしゃべってるの?じゃあ誰なのか聞いてみれば?」と軽々しく。
というわけで初めて「ところで、あなたは誰なんですか?」と聞いてみたのです。
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